京都

街行く人に「京都と言えば?」と尋ねたら、「清水寺、八ツ橋、紅葉」あたりの回答が多そうだけど、個人的には「新緑」が一番。瑞々しい若葉、潤いを含んだ苔、澄んだ空気、全てが堪らない。しかもこの時期の京都は人が少ない。

先日、今年の新緑計画を立てようと「京都 新緑」で検索したら、まあまあ拝観済だったので我ながら驚いた。良い機会なので、いったん振り返ってみたいと思う。


◾️お気に入り3選

西芳寺(苔寺)

f:id:lavalse_2:20230411220927j:image

個人的には西芳寺のことを新緑の帝王だと思っている。帝王なので当然 一筋縄ではいかず、事前に往復葉書で予約しなければならなかったり(今はオンライン予約可)、拝観料が3,000円と良いお値段であったり、お庭に入る前に写経が課されたり、様々な試練がある。

ハードルは高いものの、実際に訪ねれば納得の美しさ。私が拝観した日は、前日が雨・当日が晴れ〜薄曇りという最高の新緑日和で、ふかふかの苔、生命力溢れる若葉、神秘的な黄金池、絶妙に曲がった木々、湿って艶やかな飛び石、キラキラの木漏れ日…桃源郷のようだった。

http://saihoji-kokedera.com/top.html


②瑠璃光院

f:id:lavalse_2:20230411220934j:image

自分が新緑派だと確信した場所。前職は冬〜春が繁忙期で、初夏は解放の季節だった。有給消化のため なんとなく寄ってみたら心が洗われた感覚になり、それ以来、京都の新緑の虜になった。

瑠璃光院と言えば、紅葉が漆の机に反射している様子が有名だけど、緑と黒のコントラストも負けず劣らず美しい。あと、門から寺院までの参道の植栽も素晴らしくて ときめく。ついでに「瑠璃光院」の名は、苔の朝露が青白く瑠璃色に光る様子に由来するそう。昔の人も新緑推しだったのかも。

https://rurikoin.komyoji.com


南禅寺 天授庵

f:id:lavalse_2:20230411220940j:image

天授庵では、水を用いず石や岩で作られた枯山水庭園と、池の周りを散策する池泉回遊式庭園の両方が楽しめる。個人的には後者の方が好みだった。新緑を愛でながら、水が流れる音に癒されつつ、池にかかっている橋をのんびり渡っていると、何もかもが浄化される気がする。

ちなみに、橋はよくある形状ではなく、八ツ橋(複数の板をジグザグにしたもの)や飛び石状の橋等、バラエティに富んでいる。子供っぽくてお恥ずかしいけど、内心わくわくしちゃったよね。

https://nanzenji.or.jp/


以下は、ただのメモ。順不同。

◾️新緑目的で行ったところ

祇王寺(ここもお気に入り。「幽玄」という言葉が初めてしっくりきた) / 三千院 / 常寂光寺 / 高台寺 / 三室戸寺(アジサイが印象的) / 建仁寺 両足院(半夏生が涼しげ) 潮音庭(お庭がかっこいい) / 永観堂(大階段が渋い) / 京都府立植物園 / 二尊院 / 地蔵院 / 竹林の小径(2020年初夏、どうしようもなく気が塞いでしまい、早朝に一人で行った。人がいなくて広告みたいだった) / 鹿王院 / 退蔵院 / 東林院(白椿が儚かった) / 法然院 / 哲学の道 / 糺の森


◾️新緑目的で行きたいところ

東福寺(初秋に行ったから初夏にも行きたい) / 大徳寺 黄梅院(初秋…以下略。どシンプルな破頭庭にしびれた。池泉回遊式庭園推しと言ってたけど枯山水庭園も推す) 高桐院(冬…以下略。参道が優美) / 源光庵 / 光悦寺 / 蓮華寺 / 宝厳院 / 智積院 / 泉涌寺 / 詩仙堂


◾️おまけ

色々訪ねてきたけど、信心深いとか寺院に詳しいとかではない。"一度は行ってみたい 京都「絶景庭園」/ 烏賀陽百合" という本を思いっきり参考にさせていただいている。紅葉も新緑も同じモミジなので、紅葉の名所≒新緑の名所であるという話はちょっとした盲点だった。

あと、お庭を作った人やお手入れしてる人のことを尊敬してやまない。当時のカリスマ庭師 夢窓疎石氏のお庭巡りとかしてみたいし、拝観中に住職さんや職人さんが植物をメンテナンスされているところを見かけると、お邪魔させてもらって有り難いなあと思う。

もし自分が大富豪で、莫大な財産をどうにかしないといけなくなったとしたら、最先端の研究機関に寄付するか(時折論文の謝辞に登場する謎の人物になりたい)、古き良き建物やお庭の維持費として寄付するかで真剣に迷う。まあ所詮は妄想なのですが…心意気が大切だということで…何はともあれ、今年の京都の新緑も目一杯満喫したい。

 

※画像は「そうだ 京都、いこう」のサイトからお借りしました。