社会人になってからの一時期、某空港に着陸する飛行機が間近で見えるエリアに住んでいた。夜、自宅の窓から航空灯の点いた飛行機が飛んでくる様子を眺めるのが大好きだった。
しばらく観察していると、飛行機は綺麗に等間隔で並んで飛んでくること、ときどき飛行機が高度違いで交差していて、それが毎回同じくらいの時刻・位置で起きていること、台風や強風の日は着陸ルートが微妙に違うことに気付いた。
恥ずかしながら、飛行機は空を自由に飛んでいると思い込んでいたので、ある程度固定されたルートがあり、秩序立って運用されていることを発見したときには ものすごく興奮した。そこから、仕組みを知りたい!と調べたところ、「航空管制」というワードと「航空管制官」という職業に辿りついた (航空管制: 航空機を安全に運航させるために飛行の方法等について管制機関が指示を行うこと。航空管制官: 国家公務員として航空交通管制業務に従事する者)。
巨大なシステムをコントロールしている専門職。冷静で頭脳派。そこはかとなく漂う裏ボス感。え…超絶かっこいい……と すっかり魅了されてしまった。
ぼんやりした子供だったので、具体的な職業としての将来の夢を持ったことがなかったのだけど、航空管制官は人生初めて良いなと思った。転職もありかと思い、管制官試験の過去問題集を見てみたりもした。
ただ、自慢じゃないけど、私は生まれてこのかた一度も徹夜で作業したことがない。どうも深夜2時過ぎると、頭痛と動悸がする…世界中の飛行機を相手に、昼夜問わず働かないといけないのに危なすぎるでしょう…いや、他の能力も全然足りてないと思うけど…これは来世に期待案件だと悟り、今に至る。改めて、夜勤で働いている方々を尊敬します。
というわけで、航空管制官は私の憧れの職業第1位に君臨し続けている。空港で管制塔をじっとりねっとり見つめている大人がいたら、私かもしれない。
余談①
飛行機が等間隔で飛んでくるという話、実はベランダでスマホを握りしめてタイマーで測ったりもしていた。朝晩のラッシュアワーだと、約3分間隔だったかと思う。大きな金属の塊がたった数分間隔の近い距離で進行しているなんて、一つ間違えたら掠りそう。もちろんそんなことは起きていないので、緻密に制御されてるんだなあと感動する。
余談②
Flightradar24というアプリが好き。地球上に飛行機がうじゃうじゃいて圧倒される。しかもそれぞれの出発地・到着予定地・高度・速度等が無料で知れる。管制音声サイトやウェイポイントマップと併せて見るとさらに面白い (ウェイポイント: 航空路の分岐点や空域の境界点のことで、アルファベット5文字で表される。結構お茶目なネーミングで、例えば浦安付近の一つは「MICKY」。マップの詳しい見方はいまいち分かっていない)。
あと、寝つけない夜にFlightradar24を起動すると、自分以外にも起きている人達がたくさんいるんだなと妙に励まされる。まあ、私と違って皆さん働いていらっしゃるので、勝手に仲間意識を持つのは失礼か。
https://www.flightradar24.com/
https://www.liveatc.net/search/?icao=RJTT
余談③
一時期舐めるように読んでいた元航空管制官の方のブログ。大変お世話になりました。
https://moto-koukukanseikan.net/category/atc/
余談④
飛行機に乗ったときに無料でラジオや音楽が聴けるサービスがあるけど、個人的には管制音声がひたすら流れてるチャンネルが欲しい。案外需要ありそう。いろんな国の法律や国防を考慮すると、よろしくないのかな?
余談⑤
航空管制官に近い職業で、ディスパッチャーもかっこいいと思う (ディスパッチャー: 気象状況、飛行場の様子、乗客数や荷量等の運行情報を分析して、航空機の最も安全で効率的な飛行コースや高度を決定したり、到着予定の空港が使えなくなった時の変更先等を決める者)。航空会社に採用されてから、適性のある人が選ばれるそう。すごいな〜。
以上、航空ど素人が航空管制官に憧れているという話でした。
※画像は「テレビ朝日 NICE FLIGHT!」よりお借りしました。